ネット証券7社はAIでどう見られているか

株式会社KAKEHASHI

ネット証券7社のAIO(LLMO)調査:ネット証券7社はAIでどう見られているか

ネット証券7社をAIでの見られ方で比べたところ、3つのAIすべてで、SBI証券と楽天証券の2社が突出していました。2社のシェアは、どのAIでも5割を超えています。SBI証券はChatGPTで55.4%、Google AI Overviewsで62.0%、Google AI Modeで63.9%。楽天証券は57.5%、51.4%、55.3%です。3位のマネックス証券は、最大でも13.6%でした。

もうひとつの発見は、社名変更です。三菱UFJ eスマート証券(旧auカブコム証券)は、Google AI Modeで、旧社名の言及が140件と、新社名の127件を上回りました。

AIが根拠にするサイトも、AIごとに違いました。ChatGPTが引用したサイトの60.1%は公式サイトです。一方、Google AI Overviewsでは比較サイト・メディアが53.0%、Google AI Modeでは50.5%でした。

このレポートでは、AIに自社を正しく取り上げてもらう取り組み「AIO(LLMO)」の視点で、調査結果と打ち手をまとめます。

調査概要

項目 内容
対象 ネット証券7社(SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券、三菱UFJ eスマート証券(旧auカブコム証券)、GMOクリック証券、PayPay証券)
対象AI ChatGPT、Google AI Overviews、Google AI Mode
データ Ahrefs Brand Radar(日本、Ahrefs標準のプロンプト)
取得日 2026年10月25日
最終更新日 2026年10月25日
見ている指標 ①社名がAIの回答に登場した割合(シェア) ②AIが回答の根拠として引用したサイトの種類 ③新社名と旧社名の言及件数
社名の扱い 三菱UFJ eスマート証券は、旧社名(auカブコム証券)の言及も合わせて集計

用語の説明です。

  • Google AI Overviews:Google検索の結果の上に表示される、AIによる要約です。
  • Google AI Mode:Google検索で、AIと対話しながら調べる機能です。
  • 参照元(引用元):AIが回答をつくるときに、根拠として使ったサイトのことです。

参照元は、次の6種類に分けています。

  1. 公式サイト(FAQ・ヘルプを含む)
  2. グループ・提携先(カード会社、銀行など)
  3. 公的機関(金融庁、日本取引所グループなど)
  4. 比較サイト・メディア
  5. 動画・投稿系(YouTube、noteなど)
  6. Google・その他

結果1:シェアは、SBI証券と楽天証券が突出

社名が回答に登場した割合は、次のとおりです。1つの回答に複数の会社が出るため、合計は100%を超えます。

社名がAIの回答に登場した割合

証券会社 ChatGPT AI Overviews AI Mode
SBI証券 55.4% 62.0% 63.9%
楽天証券 57.5% 51.4% 55.3%
マネックス証券 10.0% 6.9% 13.6%
松井証券 4.6% 5.1% 8.1%
三菱UFJ eスマート証券(旧auカブコム証券) 1.1% 3.2% 3.2%
GMOクリック証券※ 1.8% 1.8% 1.8%
PayPay証券※ 0.7% 0.7% 0.5%

※参考値です。言及件数が少ないためです。

見えてきたことは、次の3点です。

  • 2社は、3つのAIすべてで5割を超えました。 3位以下は、最大でもマネックス証券の13.6%(AI Mode)です。
  • 2社の順位は、AIによって入れ替わります。 ChatGPTでは楽天証券(57.5%)がSBI証券(55.4%)を上回りました。Google AI OverviewsとAI Modeでは、SBI証券(62.0%、63.9%)が上です。
  • 件数で見ても、2社が突出しています。 AI OverviewsとAI Modeでは、楽天証券の言及件数がSBI証券とほぼ並びます。順位は、数え方で入れ替わります。

各社の言及件数(AIの回答に社名が出た件数)は、次のとおりです。

証券会社 ChatGPT AI Overviews AI Mode
SBI証券 1,813件 1,340件 2,323件
楽天証券 1,734件 1,353件 2,374件
マネックス証券 516件 478件 956件
松井証券 220件 261件 443件
三菱UFJ eスマート証券(旧社名の言及を含む) 92件 110件 199件
GMOクリック証券※ 136件 92件 157件
PayPay証券※ 62件 52件 81件

結果2:AIごとの参照元は、大きく違う

AIが引用したサイトを種類別に分けると、ChatGPTとGoogle系AIで傾向が分かれました。7社に関する回答で引用された、上位30ドメインの内訳です。

AIごとの参照元の内訳(7社全体)

参照元の種類 ChatGPT AI Overviews AI Mode
公式サイト 60.1% 28.5% 36.2%
グループ・提携先 18.6% 6.7% 6.9%
公的機関 6.0% 1.4% 1.7%
比較サイト・メディア 14.2% 53.0% 50.5%
動画・投稿系 0.0% 10.3% 2.5%
Google・その他 1.1% 0.0% 2.2%
  • ChatGPTは「自社まわりの情報」を重く見ます。 公式サイトとグループ・提携先を合わせると、78.7%です。
  • Google系AIは「第三者の情報」を重く見ます。 比較サイト・メディアが、AI Overviewsで53.0%、AI Modeで50.5%でした。
  • 動画・投稿系は、AI Overviewsで10.3%です。 ChatGPTでは0.0%でした。
  • ChatGPTは、公的機関も参照します。 6.0%で、金融庁のサイトが上位に入っています。
順位 ChatGPT AI Overviews AI Mode
1位 楽天証券の公式サイト(790) 会社設立のミチシルベ(649) 楽天証券の公式サイト(1,073)
2位 SBI証券の公式サイト(586) Yahoo!ファイナンス(631) 会社設立のミチシルベ(894)
3位 SBI証券のFAQ(286) 楽天証券の公式サイト(600) Yahoo!ファイナンス(877)
4位 Yahoo!ファイナンス(231) YouTube(527) SBI証券の公式サイト(610)
5位 金融庁(208) 株探(354) ダイヤモンド・オンライン(487)
  • Google系AIでは、証券会社以外のメディアも上位に入ります。 「会社設立のミチシルベ」は、SOICO株式会社が運営する起業・会社設立の情報サイトで、証券会社を比べる記事が引用されています。
  • SBI証券は、複数のサイトが引用されています。 ChatGPTの上位30件に、FAQや検索のサイトを含む、5つのサブドメイン(サイトの枝分かれ)が入りました。
  • グループ・提携先も参照されています。 三井住友カード、楽天カード、SBI新生銀行、楽天銀行、SBIグループなどです。

結果3:社名変更後も、旧社名の言及が残っている

三菱UFJ eスマート証券は、旧社名が「auカブコム証券」です。新社名と旧社名が、AIの回答にそれぞれ何件出たかを数えました。

新社名と旧社名の言及の割合

AI 新社名(三菱UFJ eスマート証券) 旧社名(auカブコム証券) 旧社名の割合
ChatGPT 90件 32件 26.2%
AI Overviews 100件 59件 37.1%
AI Mode 127件 140件 52.4%
  • AI Modeでは、旧社名が新社名を上回りました。 140件と127件です。
  • 旧社名が残る度合いは、AIによって違います。 ChatGPTは26.2%、AI Overviewsは37.1%、AI Modeは52.4%でした。
  • 公式サイトのドメインは、旧社名の時代と同じ「kabu.com」です。 このサイトは、3つのAIすべての上位30件に入っています。

この数字から分かるのは、「旧社名での言及が残っている」ことです。理由までは、このデータだけでは分かりません。

考察:マーケティング・経営の視点から

調査結果から言えるのは、「1つのAI向けの対策では足りない」ということです。AIごとに見ているサイトが違い、会社の順位も入れ替わるからです。そこで、「どのAIで、誰に選ばれたいか」から逆算して、打ち手を考えることをおすすめします。

1. ChatGPTで選ばれたいなら、公式サイトを整える

ChatGPTでは、公式サイトが60.1%を占めました。SBI証券のように、FAQや検索など、目的別のサイトが引用されるケースもあります。

  • 商品やサービスの特徴を、短く正確に書く
  • よくある質問を、質問の形のまま載せる
  • 古い情報や、ページごとの食い違いをなくす

2. Google系AIで選ばれたいなら、第三者に載る

Google AI OverviewsとAI Modeでは、比較サイト・メディアが5割を超えました。公式サイトだけを磨いても、Google系AIには届きにくい可能性があります。

  • 比較サイトやメディアに、正しい情報が載っているかを確認する
  • プレスリリースの配信や、比較・マッチングサイトへの掲載を検討する
  • AI Overviewsでは動画・投稿系も10.3%あるため、動画や解説コンテンツも選択肢に入れる

3. グループ・提携先の情報は、全体で整える

ChatGPTでは、グループ・提携先が18.6%を占めました。カード会社や銀行など、提携先のサイトに載る情報も、AIの回答に影響します。サービス名や説明を、提携先ともそろえておくことが大切です。

4. 社名やサービス名を変えたときは、AIの回答を点検する

旧社名の言及は、AI Modeで52.4%でした。社名を変えたら、AIが旧社名の情報を引き続き使っていないかを、定期的に確認しましょう。

  • 新社名と旧社名の両方で、AIに質問して回答を確かめる
  • 公式サイトや、提携先・メディアの記載を、新社名にそろえる
  • 旧社名で探している人にも、新社名にたどり着ける説明を残す

5. 順位に一喜一憂せず、複数のAIで定点観測する

上位2社でも、AIや数え方によって順位が入れ替わりました。1つのAIの結果だけで判断せず、複数のAIで、同じ条件で、定期的に確認することが大切です。

打ち手の整理

目的 主に狙うAI まず取り組むこと
公式情報の正確さを高める ChatGPT 公式サイトのFAQ・ヘルプの整備
比較・検討の段階で候補に入る AI Overviews、AI Mode 比較サイト・メディアへの掲載、プレスリリース配信
動画や投稿で調べる人に届く AI Overviews 動画・解説コンテンツの発信
グループのブランドを守る 全AI グループ・提携先の情報の統一、社名変更時の点検

予算を配分するときは、自社が「どのAIで、誰に選ばれたいか」を先に決めます。そのうえで、優先するAIの参照元に近いところから手を打つと、無駄が少なくなります。

よくある質問

ネット証券7社のうち、AIによく取り上げられるのはどこですか?

SBI証券と楽天証券の2社です。3つのAIすべてで、シェアが5割を超えました。SBI証券は55.4%から63.9%、楽天証券は51.4%から57.5%です。3位のマネックス証券は、最大でも13.6%でした。

ChatGPTとGoogleのAIで、参照されるサイトはどう違いますか?

ChatGPTは、公式サイトが60.1%を占めました。Google AI Overviewsは比較サイト・メディアが53.0%、Google AI Modeは50.5%でした。

社名を変えたあと、AIは新しい社名を使っていますか?

三菱UFJ eスマート証券(旧auカブコム証券)では、旧社名の言及が残っています。旧社名の割合は、ChatGPTで26.2%、AI Overviewsで37.1%、AI Modeで52.4%でした。AI Modeでは、旧社名(140件)が新社名(127件)を上回りました。

シェアが高いと、評価が高いということですか?

いいえ。シェアは、社名がAIの回答に登場した割合です。人気や評価の高さを示すものではありません。

自社がAIにどう見られているかは、どう調べればよいですか?

お客様が聞きそうな質問を、複数のAIに同じ条件で入力します。自社名が出るか、どのサイトが根拠になっているかを、定期的に確かめます。Ahrefs Brand Radarのようなツールを使うと、件数やシェアも集計できます。

まとめ

  • ネット証券7社のAIでの見られ方は、SBI証券と楽天証券の2強でした。2社のシェアは、どのAIでも5割を超えています。
  • ChatGPTは公式サイトを60.1%、Google AI Overviewsは比較サイト・メディアを53.0%、Google AI Modeは比較サイト・メディアを50.5%引用しています。
  • 三菱UFJ eスマート証券は、AI Modeで旧社名の言及(140件)が新社名(127件)を上回りました。
  • AIO(LLMO)対策は、狙うAIによって打ち手が変わります。

この調査の注意点です。

  • 調べたのは、2026年10月25日時点のデータです。AIの回答は日々変わります。
  • GMOクリック証券とPayPay証券は、言及件数が少ないため、参考値です。
  • シェアは、社名が回答に登場した割合です。人気や評価の高さを示すものではありません。
  • 2社の順位は、AIや数え方によって入れ替わります。
  • 参照元の内訳は、7社に関する回答で引用された上位30ドメインの集計です。会社ごとの内訳ではありません。

この記事は、AIの回答の傾向を調べたものです。特定の会社の商品をすすめたり、投資の判断を助言したりするものではありません。

出典:Ahrefs Brand Radar(2026年10月25日取得)、KAKEHASHI集計

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